真空管自作の最初のうちはゲッターなしでやりましたが、ポンプの性能が悪くてすぐにダメになりました。
そこでマグネシウムゲッタを使った結果、真空度がかなり改善されました。
これにはマグネシウムリボンを短く切ってニッケル板で包み、プレートに溶接して電子衝撃で蒸発させました。
それからはマグネシウムゲッタを多用していたのですが、やはり真空度の低下が問題になってきて、
バリウムゲッタが必要になってきました。
バリウムゲッタを作るにはバリウム化合物から単体のバリウムを取り出さないといけませんが、
単体のバリウムは反応性が高くて大気中で扱うのが難しくなります。
マグネシウムやアルミニウムと合金化すれば大気中でも安定するんですが、これらの合金は加工性がない上、
不活性ガス中で反応させる必要があるので設備費用が莫大になってしまいます。
そこでバタラムゲッタの原理を応用して真空管内でバリウムを還元しようと思っているのですが、
これがなかなか難しいわけです。
まずアルミ箔に炭酸バリウムを包んでさらにニッケル板で包み、これを真空管内で誘導加熱しました。
炭酸バリウムは熱分解してテルミット反応も起こったのですが、反応熱が大きすぎてゲッターが溶融して落ち、挙句バリウムは飛ばずじまいでした。
バタラムゲッタの還元剤にはジルコニウム線が使われていますが、これは非常に高価で、1mあたり4000円以上します。
そこでチタンを使おうと思って実験しました。
8mm角に切ったチタン板に、酢酸アミルにニトロセルロースとバリウムとストロンチウムの炭酸塩を混ぜて塗布し、真空管内で誘導加熱しました。
しかし加熱がうまくいかないし塗布した炭酸塩も剥がれるだけで、まったく飛ばずに終わりました。
今のところ、次に考えているのはタングステン線にバリウムとストロンチウムの炭酸塩を塗布し、
それをニッケル線の弓に弦として溶接して誘導加熱するというものです。うまくいけばタングステンが還元剤になってバリウムが飛んでくれると思うのですが...
2020/10/9
CiNii にて、ゲッタに関する論文を古い順に検索していったところ、
チタン線を用いたバリウムゲッターについてという論文を発見しました。
タンタル線が1m1200円、ジルコニウム線が1m4500円なのに対し、チタン線は1mあたり500円程度と安価であるので、この研究結果を使用できればバリウムゲッタ技術の獲得に大きく近づくはずです。
つづく...