三極管のグリッドは陽極電流を制御する電極で、一定間隔で細い線が張られた形状をしている。
増幅率 μ はグリッドと陰極の静電容量 Cgk と陽極と陰極の静電容量 Cpk の比であり、
μ = Cgk / Cpk
ということである。具体的には、μは
- 陽極-グリッド間距離 Xpg に比例する
- グリッド線の半径 rg に比例する
- グリッドのピッチ p の2乗に反比例する
という関係を持つ。寸法からμを導くのは困難であるが、概ね次の式で計算できる。
μ = ( 50 * Xpg * rg + 0.01 ) / p
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真空管の設計の際はグリッドの直径や線径を一定とし、ピッチを微調整することでμを目標の値に近づけていく。
そこで、この式を変形してピッチを計算すると、次の式が得られる。
p = √( ( 50 * Xpg * rg + 0.01 ) / μ )
μはグリッド電圧によって変動することがある。これはグリッドのピッチが均一でないことが原因で、
μの異なる複数の真空管が並列接続されたことと等価となるためである。
ただし、直熱管の場合はフィラメント電圧の分布によって同じような効果を呈する。
逆にわざとピッチを連続的に変えて作ったグリッドを使うことで、グリッドバイアス電圧によって増幅率を可変できるようにした可変増幅率管(バリμ管)がある。
五極管ではこれをリモートカットオフといい、そうでないものはシャープカットオフという。