誘導加熱をするためには大電力の高周波発振器が必要です。
最初は昔のように送信管でやっていましたが、調整が大変だしパワーが出ないし暑いしブレーカーが落ちるわでエライ目にあったので、
半導体式に転換しました。
基本的には、LC共振回路となっている加熱コイルと、それに電力を供給するインバータ回路を作ればいいのですが、
それだけでは調整が面倒で、また絶縁されていないので商用電源に直結してパワみを増すには危険です。
そこで、まずはトランスを使って一次側にスイッチング回路を接続し、二次側はワークコイルの共振回路に直列に給電するようにします。
さらに、PLL回路を使って二次側が常に共振し続けるように周波数を自動調整するようにします。これには共振回路の特性を利用します。
上の図のような回路では、二次側が共振している時、トランスの一次側の電圧位相に対してコンデンサの電圧位相は90°進むようになります。
そしてそれより周波数が高いと位相が進み同位相となり、低いと遅れて逆位相になります。
なので、インバータの励振にVCOを使い、トランスとコンデンサのそれぞれの電圧を位相検波回路にかけて位相差を取り出し、
それをコンパレータにかけた後VCOにフィードバックすれば常に二次側を共振させることができます。
さらにコンパレータの基準電圧を変えれば位相差が変わり、容易に出力を可変させることさえできます。
この回路はPLL式誘導加熱の例です。
4046を使えば楽なのでしょうが、発振周波数の計算がよくわからなかったので、
コンパレータとクリッパにNJM2403、VCOに7555、位相比較と分周に4013を使っています。
ゲートドライバにはIR4427を、インバータのスイッチング素子にはIRFP260を使いました。
VCOの出力を分周するのは、デューティ比を50%にするためです。