IPUT電子工学研究会による様々な研究結果をおいておくところ

単陽極マグネトロン


単陽極マグネトロンは、1921年に Albert Hull によって発表された二極管で、低周波増幅に用いられます。
その構造は円筒形陽極と線状フィラメントが同軸上にあるもので、
管外部に備えた界磁コイルで管軸方向に磁界を加え、その界磁電流を変動させて入力としています。
現在一般にマグネトロンと呼ばれるものはレーダーや電子レンジに使用されるマイクロ波発振用の真空管ですが、
これは空洞共振マグネトロンというもので、ここで扱う単陽極マグネトロンとは動作の原理が異なるものです。

単陽極マグネトロンの陽極電圧を一定にした状態で、陽極電流と磁束密度をグラフにとり、界磁電流を増して磁束密度を上げていくと、
ある点で急に陽極電流が流れなくなります。この時の磁束密度を陽極電圧に対する臨界磁束密度といいます。
フィラメントから放射された電子は陽極からの電界で加速されますが、印加されている磁界の影響で電子は真っ直ぐ進まずに軌道が曲がり、
臨界磁束密度では電子はついに陽極に到達できなくなり、陽極電流が遮断されます。

陽極電圧を Ea [V], 陽極半径を ra [cm] とすれば、臨界磁束密度 B [G] は以下の式で求められます。

B = ( ( 6.72 * √ Ea ) / ra )

さて、単陽極マグネトロンを増幅器に用いる場合、その陽極には負荷抵抗が接続されます。
この負荷抵抗は陽極電流により電圧降下を生じて陽極電圧が下がるため、抵抗を接続すると臨界磁束密度が減少することになります。
しかし臨界状態になると陽極電流が遮断されて陽極電圧が上がるので、臨界磁束密度が増加することになります。
つまり負荷抵抗を接続した場合、遮断特性が変わってきます。

つづく...

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